この記事では、ジョーカー90の油圧ブレーキ一式を交換するためにブレーキフルードを排出させた工程を写真付きで解説します。
通常のブレーキフルードの交換方法も併せて紹介します。
フルード液交換に関する情報は黒枠(□)で囲んで表示します。
余談:ジョーカーのサービスマニュアルには油圧ブレーキと書かれていますが、実際使われているブレーキフルードは油ではなく非油性の化学液体です。
整備の現場では慣習的に 「ブレーキオイル」 と呼ぶ人もいますが、これは 油圧系統の液体=オイル という広い意味での呼び方です。
成分としてはオイルではないので、厳密には誤用です
ブレーキフルード(俗称:ブレーキオイル)の交換は必要なのか?
結論:2年に一度の交換が推奨されています。
【交換の目的:劣化・吸湿・安全性】
- 吸湿による性能低下を防ぐため ブレーキフルードは空気中の水分を吸収し、沸点が下がってブレーキフェード(効きの低下)が起きやすくなる。(沸騰するとブレーキフルード内に気泡が発生します)
- 内部パーツの腐食を防ぐため 吸収した水分がブレーキライン内部の金属を錆びさせ、キャリパー固着やマスターシリンダーの不調につながる。
- ブレーキタッチを正常に保つため 劣化したフルードは圧力伝達が鈍くなり、レバーの感触がスポンジーになる。(やわやわになり、カチッっとブレーキが効かない)
- 安全な制動力を維持するため 沸点低下やエア混入は制動力の低下を招き、緊急時のブレーキ性能に影響する。
- メーカー推奨のメンテナンス周期を守るため DOT3・DOT4は吸湿性があるため、一般的に「2年ごと」の交換が推奨されている。
必要な道具
- プラスドライバー #2
- 呼び寸法8のメガネレンチ(スパナでも代用可)
- 耐油ホース(100均で売っているビニールホースでも代用可)
- 廃液を受ける容器(今回はペットボトルを使用)
- ウエス、たくさん。(ブレーキフルードは塗装面を痛めます。車体養生のために必須です)
- あると便利な物
- スポイト
- 使い古した歯ブラシ
- 竹串
ブレーキフルードの排出(ブレーキフルードの交換)手順
廃液経路の確保

キャリパーのブリードバルブにメガネレンチをはめ込み、
ブリードバルブに透明なチューブを接続、
廃液を受け止める容器をセットします。
廃液を受ける容器は倒して廃液をこぼしてしまうと後々面倒くさいことになりますので、ペットボトルの蓋にチューブが入るくらいの穴をあけて装着しておくと安心です。

今回は、100均で購入した「観賞魚用品・エアーポンプ用ビニールチューブ」を使用しました。
この寸法差のチューブを差し込めるのか?
差し込めるか?差し込めないか?じゃない。差し込むんです!
若いころと比べて握力が少なくなってきているのか?力業ではチューブを奥まで差し込むことができません。
金は無くても知恵はある。「亀の甲より年の劫」っていう奴で考えました。

ドライバービット⊕#3をチューブに差し込みしばらく置いて、チューブに広がりを持たせて、
チューブをビットから外して、すかさずブリードバルブに差し込みました。
*補足:時間が経つとチューブは元の寸法に戻ってしまいますので、いかに素早く作業するか、が大事です。
ちなみに、ブリードバルブのチューブを差し込む部分の一番太いところの寸法は約7㎜なので、内径5mm〜6mm(φ5〜φ6)の耐油・燃料ホースを使えば楽に作業が出来ると思われます。
マスタシリンダキャップの取り外し
ハンドルを左に切ってマスタシリンダ上部を水平にし、マスタシリンダキャップ、セットプレート、ダイヤフラム(ゴムの部品)を取り外す。

補足
ブレーキフルード確認窓が曇ってしまって中が見えないような状態の物のマスターシリンダキャップを取り外す場合など、ブレーキフルードをこぼしてしまうと後が大変です(塗装を痛めます)
マスターシリンダのボルトを緩めて、マスターシリンダーが水平になる位置に移動させて作業すると安心です。

ブレーキフルードをこぼしてしまった時の対策として、マスターシリンダの周りをウエスで囲み、慎重にマスタシリンダキャップ、セットプレート、ダイヤフラム(ゴムの部品)を取り外します。
補足:マスタシリンダキャップの取り付けネジは固着してしまい、ネジを外すときにナメてしまう筆頭にあげられるネジの一つです。
おじさん(著者)はステンレス製の皿小ねじに交換済みです。
ネジサイズ:M4×12

マスターシリンダーの中のブレーキフルード排出&内部清掃
マスターシリンダタンク内のブレーキフルードをスポイトなどで吸い出します。
(この工程は省いても構いませんが、この工程を行う事で作業が速くなるのと同時にブレーキフルードの散乱防止にもなります)

ブレーキフルード交換の場合
上の写真程度で、小さな穴2か所が液面より上に出ない状態(空気をかみ込ませない)で新しいブレーキフルードをこぼれない程度に注ぎます。
マスターシリンダ内の汚れはできるだけ取り除いておきましょう。
新しいブレーキフルードを入れつつ、古いブレーキフルードを排出します。
*上の写真ではプロテクターと呼ばれる金属板が外れてしまっています。
これについては後述します。
今回はマスターシリンダーを交換するので、マスターシリンダー内の古くて変質したブレーキフルードはすべてスポイトで吸い出しました。

プロテクタを正しい位置にはめ込みます。
この部品は自身のバネの力ではめ込まれているだけなので、割ばしなどを使ってぐっと押し付けて取付完了です。
マスタシリンダ内の端の汚れは竹串を使って取り除きました。
マスターシリンダー内の掃除には使い古した歯ブラシや、ペーパーウエスを必要に応じて使用します。
ブリードバルブからブレーキフルードを排出させます。
ブリードバルブをゆるめ、ブレーキレバーを握る、放す操作を繰り返す。
ブリードバルブからブレーキフルードが出なくなるまでこの操作を行う。
*注意:プロテクタを正しくはめ込んでいない場合、ブレーキレバーをパッと離すとブレーキが飛び出す場合があります。
ブレーキフルード交換の場合
ブリードバルブから古く汚れた液が出なくなり、新しいブレーキフルードが出てくるまでこの作業を繰り返します。
マスターシリンダー内の新しブレーキフルードの液面が下がってくるので随時追加しながら作業を繰り返します。

排出されたブレーキフルードは600㎜ℓのペットボトルの底にほんの少しだけでした。
新しいブレーキフルードを入れる場合100㎜ℓくらいあれば十分だと思われます。
ブレーキフルードの廃棄方法
抜き取った古いブレーキフルードは化学薬品です。新聞紙やウエス等に吸わせて自治体の指定(可燃ごみ等)に従って処理してください。
おじさん(著者)が住んでいる自治体では可燃物で処理が出来るようなので、たっぷりのキッチンペーパなどに含ませて可燃ごみとして処分しました。
ガソリンスタンドに持ち込めば格安で処分していただける場合が多いです。
やっておくと良い作業・ブリードバルブの取り付けネジ部分にシールテープを巻いておく
この作業の後、新しいブレーキフルードを入れる時に気が付いたのですが、ブリードバルブをゆるめると、ネジの隙間から空気が入り込みます。
ブレーキ液の排出(交換)時に
ブリードバルブの取り付けネジ部分にシールテープを巻いておくことを強くお勧めします。

一般的な配管用シールテープはブリードバルブのネジの長さより幅が広いので、ネジの長さの幅に切って使用しました。

ブリードバルブの先端の穴をふさいでしまわないように注意し、ネジ部分にシールテープを巻き付けました。
この車体の場合、シールテープを巻き付ける量は2回転半くらいでちょうど良い感じに密閉されました。

まとめ
ホンダ・ジョーカー90のブレーキフルード排出(交換)手順について解説しました。
ブレーキフルードは経年劣化や吸湿により制動力低下やパーツの固着を引き起こすため、2年に1回の定期交換が推奨されています。
- 作業時の重要ポイント
- 液跳ね・養生対策:ブレーキフルードは塗装を傷めるため、マスターシリンダー周辺はウエスでしっかり保護する。
- エア噛み防止: 交換時はタンク内の液量を切らさないよう注意する。
- ブリードバルブの密閉: ネジ部にシールテープを巻いておくと、今後の作業中のエア巻き込みを防げてスムーズに作業が進みます。 足回りのメンテナンスは安全に直結する重要パーツです。手順と注意点をしっかり押さえて作業を行いましょう!


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