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この記事では、HONDA・JOKER90(Shadow 90)ジョーカー90のブレーキマスターシリンダ(ハンドルについているレバー部分)を、部品単位までバラシて(分解・掃除)組直すまでの工程を写真で詳しく紹介します。
*この記事は1万文字を超える長い記事になってしまいました。ブックマークやお気に入りに登録して必要な部分を読んでいただけると幸いです。
ディスクブレーキ 一式をオーバーホールしたかったのですが、現車から取り外してオーバーホールするとなると、その間 ジョーカー90に乗る事が出来ません。

そこで、ヤフオクで油圧ブレーキ 一式を落札してオーバーホールした後に現車に取り付け(取り換え)する事にしました。
(便宜上、油圧ブレーキと表現していますが、ほとんどのバイクや車のブレーキフルードは油ではなくグリコール系の液体です)
*ジョーカー90の油圧ブレーキ・マスターシリンダーは2025年現在は新品を購入する事が出来ません(メーカー廃盤)
整備初心者でもできるように、写真付きで手順を紹介します。
ヤフオクで、ジョーカーのディスクブレーキは、たまに出品されています。

酔っぱらった勢いで、詳細を確認せずにホンダ・ジョーカーの油圧ブレーキユニット一式を格安で落札してしまいました。
この記事のハイライト(解決できる悩み)
- ヤフオクで入手したジョーカー90用マスターシリンダーの現状チェック
- ガッチリ固着したピストンの安全な抜き方・裏技
- 分解・洗浄・組み立てに必要な工具(スナップリングプライヤーなど)と部品
ヤフオクで落札したジョーカー90マスターシリンダーの現状確認
商品が手元に届いて確認してみると、なぜこの商品が 安いのに誰も入札に参加しなかったのかが解りました。
安い物には訳がある!
現状を画像で紹介しながら、ダメな点も紹介します。
まずは、上から持た画像です。
*この画像の、ブレーキレバーの取り付け角度で、他の方がヤフオクの入札に参加しなかった理由がわかるのですが、おじさん(筆者)は、まだこのマスターシリンダーの大きな欠陥に気が付いていません。

写真写りがよく、綺麗な状態に見えますが、現物は白錆びなどで表面が荒れています。
しかし、表面の荒れは、あまり問題ありません。この部品はアルミ素材だと思われますので、表面の汚れ(荒れ)を取り除いてしまえば良いだけです。
アルミ素材であれば、真剣に磨き上げれば鏡面仕上げにする事も可能です。
(その後の表面の状態維持が大変なので、そこまでは頑張りませんが、)

運転席側から見た時の画像です。
ブレーキフルード確認窓は、ひび割れ&曇り&茶色に変色していて、中の様子は全く分かりません。
ちなみに、ブレーキフルード液の確認窓の左下 11 の文字はマスターシリンダーの直径を表しています。
(マスタシリンダーのピストン部分の直径は11㎜です)

下側から見た画像です。
ネジは錆び付いていて、綺麗に外す事が出来るのか?不安要素が・・・
ブレーキランプスイッチの左上あたりを見て頂けば、アルミ素材の表面が錆で荒れている様子がわかるかと思います。
ここまでは、想定の範囲内だったのですが、・・・・・

予想外の問題点が発覚しました。
マスターシリンダーのブレーキレバーがあたる部分のゴムブーツが破れており、バネの力で押し出されている筈のピストン軸が奥に入ったままです???
ピストン軸が錆びついて固着しているようです。
*これが、ヤフオクで他の方が落札に参加しなかった理由だという事が判明しました。この後いろいろと大変な目にあいながらレストア作業を続けます。
【分解手順】マスターシリンダーを分解しながら不具合チェック
取り外しやすい部分から分解していきます。

ブレーキレバーの取り外し。
下側のナットを取り外し。
下側の袋ナットの錆がひどかったのですが、袋ナットの内側は錆び付いていなかったので、比較的簡単に外れました。
ピポットボルト(ブレーキレバーを止めているボルト/ねじ)の取り外し
余談:どんなネジでも同じですが。ネジ頭の溝の部分にあった工具を使うと、ネジ頭の溝を潰してしまう失敗が少なくなるだけでなく、作業効率も良くなります。
ここで使用したドライバービットは、
マキタ(Makita) -ビット 10-70mm A-44264 (マイナス部分の長さが10mmの物です)
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破れたゴムブーツは、手でつまんで引き抜けば簡単に外せます。

写真ではわかりにくいのですが、ゴムブーツを外した内部は、R型スナップリング(穴用止め輪)が付いているのですが、全体が錆で覆いつくされていてスナップリングの穴が見えないほどひどい状態でした。
穴の中の錆を根気よく取り除いて、スナップリングの取り付け/取り外し用の穴を発掘

こんなに錆び付いている状態のスナップリングを外す事が出来るのだろうか?と。思いつつ
ここから先は、衝撃を与えるような作業をする可能性があるので、先にブレーキランプスイッチを取り外す事にしました。

ブレーキランプスイッチの取り付けネジは見た目の錆具合とは裏腹に、簡単に取り外す事が出来ました。

取り外した、ブレーキランプスイッチの通電テストを行いました。
スイッチがフリーの状態で通電あり。
スイッチを押すと通電無し。
ブレーキランプスイッチは、壊れておらず、このまま使えそうです。
ブレーキランプスイッチの取り付けネジは、固着している可能性が高いネジです。

ネジをなめてしまいそうなときには、ネジザウルスというねじ外し用ペンチを使うと便利です。
話を、マスターシリンダー部のピストン取り外しに戻します。
サビて他の部分と一体化したスナップリングをスナップリングプライヤーで恐る恐る外してみると、

意外と、あっさり穴用スナップリング(穴用止め輪)を取り外す事が出来ました。
スクーター修理などを自分で行う場合は、スナップリングプライヤーが必要になる場面が何回も出て来ますので、穴用スナップリングプライヤーと軸用スナップリングプライヤーを購入する事をお勧めします。

おじさん(筆者)は、先端を取り換えて、軸用・穴用のスナップリングを取り外す事が出来るスナップリングプライヤーを使っています。
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この商品は、価格なりのつくりなので、とても良い とは言えないかもしれませんが、DIYでスクーターの修理に使う程度であれば十分使用できる商品です。
(ちなみに、自走式草刈り機のブレーキ修理時にはこの製品では対応できず、価格が数倍する、全長が長いものを購入して使いました)
工具の話から、もとの話に戻します。
マスターシリンダー部のピストンを固定していたスナップリングを取り外すと、バネの力でピストン軸が飛び出すはずなのですが・・・・・

ピストン軸が飛び出すか、出ないか?のレベルではなく、マスターシリンダーのピストンピンはガッツリと固着していて取り外す事が出来ません。
ピストンは交換予定なので傷付いても構わない。という事で、プライヤーではさんで力ずくで引っ張ったり、大きなマイナスドライバーを使って、てこの原理 でピストンを抜こうとしたのですが、びくともしません。
錆びて固着した部分を何とかする時にはラスペネ様に頑張って貰う事になっています⦅おじさん(筆者)個人の見解です⦆ので、とりあえず浸透潤滑剤ラスペネを吹き付けて、他の作業に移ります。

ラスペネを浸透させつつ、外観の浮きサビをペーパー掛けして整えた状態毎日、マスターシリンダーのピストン部にラスペネを吹き付けて、仮付けしたブレーキレバーで衝撃を与えつつ、外観を サビ落としスポンジや耐水ペーパー(紙やすり)で綺麗にしてみました。
マスターシリンダーのピストン抜き取り問題は先送りにして、マスターシリンダーを分解していきます。

バンジョーボルト(ブレーキホースを取り付けるボルト)を取り外し。
マスターシリンダーの上部のネジ2か所を取り外し、マスターシリンダーキャップと、プレート(ダイヤフラム)を取り外します。
マスターシリンダーキャップの取り付けネジは適度な締め付け具合であったため、簡単に取り外しができました。
マスターシリンダーキャップの取り付けネジは、バイク修理で舐めやすいネジの筆頭に上がるといっても過言のないネジです。
ネジをなめてしまった方は、こちらの記事を参考にしてネジを取り外してください。


ダイヤフラム(ゴム部品)を取り外してみると、

ダイヤフラム(ゴム部品)は べローンと、下に広がって伸びていました。
下に広がって伸びていたダイヤフラム(ゴム部品)を、折りたたんでみると

ベローズ全体は少々たわんでいますが、綺麗に折りたたむ事が出来ました。
ベローズ自体に傷や、おかしな穴はも当たらないので、綺麗に洗浄すれば再利用できそうです。
(ブレーキフルードは水溶性なので、中性洗剤などを使えば簡単にきれいにできます)
マスターシリンダーの内部は

ブレーキフルードが変質し、茶色い汚れとなってマスターシリンダーの内部はかなり汚れています。しかし、錆などは見当たらないため、綺麗に洗浄すれば問題無しと判断。
プロテクターという名の部品が本来の位置から外れて、マスターシリンダーの内壁にはりついています。
余談:機械修理は、観察と推理(推測)で、不具合の原因を探り当てるのですが、今回はここで、この部品がどう使われてきたのかプロファル(本来の意味は、人物の特徴の分析や推論を表す言葉ですが・・・)してみます。
・マスターシリンダーの取り付けネジは適正トルクで締め付けられていた。
・ベローズがほぼ限界まで伸び切っていた。
・ピストンが固着していた。
上記の点から、このマスターシリンダーは、
・新車の状態から一度もブレーキフルード交換をしたことが無く、
・ブレーキパッドの摩耗の度合いに合わせて、ブレーキフルードの必要量が足りなくなるまで乗り続けられ、
・その後、ピストンが固着するほどの長期間放置されていた 状態だったと推測できます。
【固着ピストンの抜き方】マスターシリンダーの洗浄とOH・部品交換
まずは、部品洗浄から

中性洗剤と歯ブラシ、すきまブラシ、竹串などを使ってしっかりと綺麗に洗浄します。

マスターシリンダーの中は、中性洗剤で洗う事で、新品同様に綺麗になりました。
マスターシリンダーのオーバーホールを始めた時からの問題点。
ブレーキフルードを送り出すピストンピンをどうやって外すか?
たぶん、ピストンピン付近をガスバーナーで炙って熱膨張させて、ピストンピンを抜けばよいのでしょうが、あいにく おじさん(筆者)はマスターシリンダーを固定できるほど大きなバイス(万力)を持っていません。
マスターシリンダーを固定しないで作業をした場合には やけど をする可能性があるので、ガスバーナーで炙る方法は却下。
試しに、マスターシリンダーを沸騰したお湯で20分ほど過熱してみました。

ダメです。
ピストンピンの抜き取りが出来ません。
ここで、マスターシリンダーを沸騰したお湯で20分ほど過熱した結果で予想外の効果が出ました。


錆や汚れ落としで表面を削り取った部分が黒ずみました。
*アルミ素材の表面処理で、アルマイト処理という物があるのですが、アルマイト処理の最終工程で、お湯で加熱処理する事によって目に見えないレベルの小さな穴や凹凸を滑らかにして腐食しにくくする行程があります。
今回はこれと同じで、お湯で煮込むという作業を行った事でアルマイト処理と同じ効果が出たのだと思われます。
黒ずんでしまったのは水道水に含まれる微量素材が関係しているのではないか?と想像します。

表面処理が出来た厚さは、極薄い厚さのようです。
研磨布で擦ると、簡単に表面の黒ずみは落ちました。
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(この後、アルマイト処理の最終工程が疑似的にでもできるのであれば、着色も可能なのではないのか?と思い、マスターシリンダーキャップの上面表面を耐水ペーパーで研磨し直し、食紅で着色したお湯で煮沸して見たのですが、結果:着色は出来ず、前回と同じように表面が黒ずんだように変化しました)
全体的に黒ずんだマスターシリンダー。
考えようによっては、渋い色合いとも思えますし、疑似的なアルマイト処理が出来ているのであれば表面の腐食も防いでくれるはずなのでこのまま作業を進めます。
ピストンピンの取り出しは、結局 力技で打ち抜く事にしました。
バンジョーボルトを取り外した穴の部分へ軸の長いドライバーを差し込み、玄能(金づち)で軽くコンッと叩いただけで、ピストン軸を固着させていた平ワッシャーが外れ、簡単にピストン軸の取り外しができました。
・初めからこの方法を使っていれば無駄な作業をする必要は無かったのですが・・・アルマイト処理が出来たことを考えれば結果オーライです)

取り外したピストン軸は、

ピストン軸の錆がひどく、パッキンも破れているので再利用云々のレベルではありません。
ピストン軸を抜き取った穴の中を目視で確認した限りでは、大きな傷などはも見当たらないため、ピストン軸を新品に交換すれば使えそうです。
マスターシリンダーの分解はほぼ終わったので、組み立て工程に入ります。
まずは、ブレーキフルードの確認窓の交換を行います。
*ちなみに、パーツリストを確認した限りでは、ブレーキフルード窓はホンダ純正では単体販売されておらず、正式な整備補法としてはマスターシリンダー一式交換をするしか方法はないようです。
(マスターシリンダーはメーカー在庫無し、廃番で現在はメーカー純正品の新品入手は不可能です)


社外品のブレーキフルード確認窓を取り付けたことによって、見た目がかなり良くなりました。
それ以前に、ブレーキフルード液量の確認が出来る様になりました。
今までは、メーカー純正部品にこだわって整備をしてきたのですが、
整備の都度、ホンダの正規販売/整備店に部品の入手の可否を問い合わせるのが面倒くさくなってしまっています。(正規代理店の方の対応が ○○ だったことも大きな理由のひとつです)
今後は、メーカー純正でも問題無いと思える部品はアマゾン等のネット通販も利用する事とします。
そもそも、ディスクブレーキはホンダでは製造しておらず、当時のニッシン(NISSIN)製です。これはパーツリストにも【ニッシン】と、明記されています。
余談:NISSIN/日信工業株式会社(にっしんこうぎょう)は、かつては(ジョーカーが製造された時点では)独立したメーカーだったのですが、その後、本田技研工業の完全子会社 → 日立オートモティブシステムズ(同日付で日立Astemoへ商号変更)へ吸収合併され解散。
現在は、Astemo株式会社がNISSIN/ニッシンのブランド名とロゴを継承しているようです。
話がそれてきたので、話を元に戻します。
マスターシリンダー内のピストンは、NISSIN/ニッシン製か互換品で、Φ11(呼び直径11mm)用を購入すれば良さそうです。
*インターネット上で、おじさん(筆者)が探した範囲内では、NISSIN製の純正部品Φ11ブレーキマスターピストンは見つかりませんでした。
おじさんが購入したのはこちら。 価格優先で、一番安いと思われる物を購入。
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ついでに、バンジョーボルトも、少し格好が良いものにしたいと思い、
男のロマン・チタン製の軽くて強度もあり見た目も良い物 を購入検討したのですが、
予算の関係でステンレス製の物を購入しました。
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マスターシリンダーの組付け
一通りの分解・掃除と、交換部品の用意ができたので、あとは分解の逆手順で組付けていきます。
組み立ては、基本的にバラシの逆手順で行えばOKです。ここでは、使用する潤滑剤や締め付けトルクについて記載します。
*注:ここでは社外品の交換用マスターピストン、一式を使っています。
最終段階でブレーキフルードを入れる段階で、どうやっても素人修理でブレークフルードを入れることができなかったので、マスターピストンを疑って、今乗っているジョーカー90のマスターピストンを流用しました。
先の広告では、私の購入したマスターシリンダー1式は販売が終わっています。
先の広告の者が使えるかどうかは不明です。
用意した物

- 用意するもの
- ブレーキキャリパー(部品単位までバラシて掃除した物)
- ブレーキフルード DOT4 かDOT3
- 交換用マスターピストン、一式
- スナップリングプライヤー
- シリコングリス(写真には写っていません)
*ブレーキフルードは、TOYOTAのDOT3を使用します。
深い意味はありません。とかくのホームセンターにこれしか売っていなかったという事が理由です。
今回は「全量交換(フルードの全取っ替え)」しますので、異なる種類のフルードが混ざる心配もなく、作業として何の問題もありません。
マスターピストンの取付け
マスターピストンの検品
JOKER50のサービスマニュアルによると、ピストン外径の使用限度:10.945㎜となっています。

今回用意したマスターピストンの外径を測ってみると、10.88㎜しかありません。
ピストン外径の使用限度:10.945㎜
より、小さな値です。
これ、使っても良いのか?

今までついていた純正部品であろうマスターシリンダーの外径を測ってみると、10.84㎜でした。
サービスマニュアルの値より低い数字ですが、ピストンカップ(ゴム製の部分)がブレーキフルードを漏らさなければ大丈夫であろうと判断してこのまま使用することにします。
!注意
- マスタピストン、スプリング、カップ、スナップリングは、分解時には必ずセットで交換すること。
- 各部品に、ゴミやほこりが付着していないことを確認すること。
- ブレーキ液での洗浄は、必ず指定されたブレーキ液を使用すること。
!注意
カップを組み付ける時は、カップの端がめくれないようにする。

上の写真のような順番で組付けます。
- ブレーキ液はDOT4またはDOTを使用すること。
- 化学変化を防止するため、銘柄の異なるブレーキ液を混合しないこと。
写真では、TOYOTAのDOT3のブレーキフルードを使用しています。
深い意味はありません、近くのホームセンターで売っているものがこれしかなかったという理由で使っています。

カップ、ピストン、シリンダ内面にブレーキフルードを塗布し、スプリング、ピストンワッシャを組み付ける。
*ピストンにスプリングを取り付けるのはこの段階で行っておきます。
(シリンダ内にスプリングを入れてピストンを差し込んでもうまくはまってはくれません)
ここで使用するブレーキフルードはごく少量なので、ペットボトルの蓋を容器として使いました。

先ほども書きましたが、ピストンカップがめくれないように注意してシリンダーに挿入します。
実際の作業ではスナップリングは別途スナップリングプライヤーにセットして、ピストンを指で押し込み、スナップリングをマスタシリンダの溝に確実に固定します。
スナップリングの取付けを簡単そうに書きましたが、実際行ってみるとスナップリングプライヤーで縮めたスナップリングはグラグラして、うまくはまらない場合があります。

スナップリングがマスタシリンダの溝にある程度はまって、それ以上はめられない場合はマイナスドライバーなどを使って、ゴムハンマーで打ち込み溝にはめるという、最終手段もあります。
(マスターシリンダ内の溝より外側は多少傷がついても問題ありません)
ピストンブーツの取付け

新しいピンブーツ(防水用のゴム部品)を取り付けます。
*注意:ゴムブーツの根元をしっかりと取り付けましょう。

ゴムブーツの小さな法ほうの穴は、マスターピストンの溝にはまるように取り付けますので、間違えることはあまりないと思います。
ゴムブーツの奥の部分は、先を丸めた竹串や割りばしなどで押し込み、しっかりと取り付けます。
プロテクタの取付け
この項目は、HONDAのサービスマニュアルに記載がありません。

パーツリストには記載がある、プロテクタという部品。
マスターシリンダーの中の液を送り出す部分にはめ込みます。
この部品は自身のバネの力ではめ込まれているだけなので、割ばしなどを使ってぐっと押し付けて取付完了です。
プロテクタの役目を調べてみました。
マスターシリンダー内部のプロテクタは、単なるゴミ防止の部品ではありません。
リターンポートからのフルード戻り流量を整え、泡立ちを防ぎ、ダイヤフラムがポートに吸い付くのを防止するための“流路安定用パーツ”です。
レバーを離した瞬間の急激な戻り流れを抑えることで、油圧系の安定性を確保し、ブレーキ引きずりや液面の乱れを防ぐ重要な役割を持っています。
ブレーキレバーの取付け


シリコーングリースをブレーキレバーのピポット部に塗布します。
今回は、KURE GREASE MATEを使用しました。

ブレーキレバーを取り付け、ピポットボルトを規定トルクで締め付けます。
(マスターピストンを少し押し付けながらピンボルトを差し込んで、マイナスドライバーで締め付けます)
トルク(Torque):1N・m(0.1kgf・m)

ピポットナットは社外品の袋ナットを使用しました。
(袋ナットM6)
ピポットナットを規定トルクで締め付けます。
トルク(Torque):6N・m(0.6kgf・m)
オーバーホールでオリジナル維持という意味ではフランジ付き袋ナットにした方がよさそうですね。
フロントブレーキライトの取付け

フロントブレーキライトは、取付穴と位置決めピンがあるので取付位置(角度)に迷う事は無いと思います。
新しいネジを用意していなかったので一旦元の錆びたネジで取り付けました。
規定のトルク
トルク(Torque):1N・m(0.1kgf・m)
ネジは、鍋小ねじM4×12と平ワッシャー、スプリングワッシャーです。
後で新しいネジに交換することとします。
バイク(ジョーカー90)に取り付け・取り付けた後の組付け
ここから先はバイク(ジョーカー90)に取り付け・取り付けた後に行う組付けですが、この記事にまとめて書いておきます。
バンジョーボルト(オイルボルト/ブレーキホースを取り付けるボルト)の取付け

(諸事情により違うマスターシリンダーで写真を撮っています)
バンジョーボルト、新品のシーリングワッシャー(クラッシュワッシャー)でブレーキホースを接続する。
バンジョーボルトを規定のトルクで締め付ける。
規定のトルク
トルク(Torque):34N・m(3.5kgf・m)
*注意:再使用のクラッシュワッシャーはNG
再使用すると必要トルクが上がり、 規定値で締めても漏れることがあります。
クラッシュワッシャー(銅 or アルミ)が潰れる前提で締め付けるトルク値です。
シーリングワッシャー(クラッシュワッシャー)は、自己責任で再利用することも可能ですが、ここはケチらずに新品のシーリングワッシャーを使用しましょう。
銅またはアルミワッシャー(クラッシュワッシャー)の再利用について
結論からお伝えすると、銅ワッシャーは平らに見えても「一度潰れて密閉するタイプ」のため、基本的には新品交換が強く推奨されます!
一見するとただの平らな板に見えますが、新品の銅は柔らかく、規定トルクで締めた際に目に見えないレベルで潰れる(変形する)ことで、キャリパーとバンジョーの微妙な凸凹に密着してフルード漏れを防ぐ仕組みになっています。
- 再利用のリスク
- 一度締め付けた銅ワッシャーは加工硬化で硬くなっており、再利用すると追従性が落ちます。
- その結果、規定トルクで締めても微細な隙間からフルードがじわじわ滲んだり、そこからエアを噛む原因になります。
- どうしても再利用する場合(応急処置)
- 新品(数個で数角円程度です)を用意するのが一番ですが、どうしても手元になく再利用する場合は、バーナーやコンロで赤くなるまで炙って水で冷やす「焼き鈍し(やきになまし)」を行って銅を柔らかく戻し、オイルストーン等で平面を出してから使うのが DIY での定番の裏技です。
他の部分の部品は「再利用して、ダメだったら新品に交換する」という手もありますが、今回は油圧式ブレーキ関連です。
フルード液経路にエアーがかみ込んでしまった場合、修理の手間がとても面倒くさいことになりますし、
フルード液が漏れてしまった場合には塗装面を痛めてしまいます。
シーリングワッシャー(クラッシュワッシャー)は、あまり値段が高い物ではないので新品を死闘することを強くお勧めします。
おじさん(著者)が使ったシーリングワッシャー(クラッシュワッシャー)は、こちらの広告の物です。
10個もいらないのですが、Amazonから購入しました。

ある程度までは勘でバンジョーボルトを締め付けて、最後のトルクレンチを使って規定トルクまで締め付けました。
規定トルク(Torque):34N・m(3.5kgf/m)
トルクレンチで締め付ける時に感じた違和感
ある程度まで締め付けてあるのに、なぜこんなに締め付ける回転数(角度)が多いんだろう?
ひょっとして、他の部分より強く締め付けるようになっているのか?
いいえ、そうではありません。
この記事を書きながら気が付いたのですが、ある程度までは勘で締め付けて正解でした。
その後なぜ締め付け力が強い(回転数が多い)と感じたのか?
その答えは、シーリングワッシャー(クラッシュワッシャー)を潰して
キャリパーとバンジョーの微妙な凸凹に密着してフルード漏れを防ぐ。
このためにねじの締め付け量が多くなったようです。
ダイヤフラム・セットプレート・マスターシリンダキャップの取付け
ダイヤフラム(ゴム部品)は直射日光に晒ることがないため、30年前の車体でも劣化しておらず、再利用できる可能性が高いです。
ゴムが固くなっていたり、膨潤(ふやけてぐにゃぐにゃ)していなければ、水洗いして落ちたためばそのまま使えます。

ダイヤフラム(ゴム部品)をマスタシリンダに取り付け、セットプレートを取り付け。
この時には、ダイヤフラムとセットプレートがきちんとキレイにはまるようによく確認して取り付けます。
その後マスターシリンダキャップを取り付け、マスタシリンダキャップスクリューを規定トルクで取り付けます。
規定のトルク
トルク(Torque):2N・m(0.2kgf・m)
今回のオーバーホールで、錆びついて固着してしまっていたマスタシリンダキャップスクリューを壊してしまったので、新しいネジに交換しました。
皿小ねじ M4×12
余談
ブレーキを使い続けていると、ブレーキシューの摩耗やその他の原因でブレード液面が下がり、それに追従してダイヤフラムは下に伸びていきます。これは正常な状態です。
ダイヤフラムでリザーバーが密閉されているので、フルード液面が下がるとリザーバー内の空気が負圧になり、マスターシリンダキャップの隙間から入る大気圧によってダイヤフラムは下に伸びます。
リザーバータンク内の液面が下がる、主な理由
| 区分 | 原因 | 液面低下の理由 | 漏れの有無 |
|---|---|---|---|
| 正常 | パッド摩耗 | ピストン前進 | 無 |
| 正常 | ピストン戻り不足(軽度) | シール弾性低下 | 無 |
| 正常 | ホース膨張 | 体積増加 | 無 |
| 正常 | 温度変化 | 体積変動 | 無 |
| 正常 | ダイヤフラム沈下 | 液面追従 | 無 |
| 不具合 | キャリパー滲み | 微量漏れ | 有(微量) |
| 不具合 | マスターシリンダー内部劣化 | 内部で液移動 | 無〜微量 |
| 不具合 | エア混入 | 体積変化 | 無 |
| 不具合 | ワッシャー再使用 | 密着不足 | 有(微量) |
| 不具合 | 社外ボルト材質差 | 密着不足 | 有(微量) |
大気圧の経路説明

マスターシリンダキャップの両側の隙間から入る大気圧がセットプレートの中心の小さな穴から、ダイヤフラム(ゴムベローズ)の上に入り込みます。
以上で、マスターシリンダのオーバーホール終了です。
次はブレーキキャリパのオーバーホールを行います。
まとめ:ジョーカー90のマスターシリンダーOHで快適なブレーキフィーリングを取り戻そう
今回はホンダ・ジョーカー90のブレーキマスターシリンダー分解・固着ピストン取り外し・オーバーホール工程を解説しました。
メーカー廃盤となっているジョーカー90のマスターシリンダーですが、適切な手順と適切な工具(特にスナップリングプライヤーや正しいサイズのドライバー)を使えば、DIYでも安全にリフレッシュが可能です。
今回の作業の重要ポイント
- 固着ピストンの対処: ラスペネなどの浸透潤滑剤をしっかり浸透させ、あせらず時間をかけて衝撃や固着解除を行う。
- スナップリングの取り外し: サビで埋もれている穴を根気よく掻き出し、適切なスナップリングプライヤーを使用する。
- ゴム類の新品交換: ピストンカップやブーツなどのゴムパーツはブレーキの生命線。変形や劣化があれば迷わず新品(または適合リペアキット)に交換する。
- フルード通路の洗浄: リザーバータンク底面のリターンポートやダイヤフラム周辺は中性洗剤やパーツクリーナーで徹底的に洗浄する。
ブレーキ周りの整備は安全に直結する重要保安部品です。自信がない場合や最終的なエア抜き作業で不安が残る場合は、必ずプロのバイクショップに相談してください。
しっかりメンテナンスされたディスクブレーキで、安全で快適なスクーターライフを楽しみましょう!

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