ブレーキフルード量確認窓の交換方法の記事は既に公開しているのですが、今回はマスターシリンダーをバイク(スクーター)から外さずに交換してみた結果を記事にしました。
ホンダ・ジョーカー90のブレーキフルード量確認窓が劣化してブレーキルードの量が確認できない場合、必ずしも全員がマスターシリンダーを取り外して交換できるわけではありません。(というか、多くの人はマスターシリンダーを取り外して作業することはほとんどないと思います)
*補足:ブレーキフルードは2年に一度交換することが推奨されています。可能であれば、ブレーキフルードをすべて抜いてから確認窓を交換することをお勧めします。(この記事で紹介する方法は、邪道と言っても差し支えないやり方です)
そこで今回はちょっと挑戦!マスターシリンダーを車体から外さずに交換できるか試してみました。
*注意:あくまで手順を紹介する記事です。記事中の写真のように変色したブレーキフードは、すぐに交換することをおすすめします。
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準備したもの

- 新品の確認窓
- プラスドライバー NO.2
- 六角レンチ(5mm)
- バール
- ゴムハンマー
- ラチェットレンチの8mmのソケット
- ピックツール(竹串などの先が尖った物でも代用可)
- マイナスドライバ(古い窓の取り外しに使用)
- ペーパーウエス(ぼろ布やペーパータオルでも可)
- 使い古した100均のアルミシート(ブレーキフルードをこぼした際に車体を汚さないための物であれば、ブルーシートやビニールシートなど、何でも構いません)
- ラップフィルム
- 100均のF型クランプ(なければゴムハンマーでも代用可・但しリスクあり)
- スポイト(100均で購入)
- 抜き出したブレーキフルードを一時的に入れておく容器
あると便利な物
- マグネットトレイ(取り外したネジやマスターシリンダーの蓋を無くさないように使用)
作業手順
古い確認窓の状態をチェック

この個体をヤフオクで入手した時には、
ブレーキフルード確認窓はひびが入ってはいるものの、車体を揺らせばブレーキフルードのおおよその液面が確認できたのですが、現在はひび割れと窓の曇りで、ブレーキフルードの量が全く分からない状態です。
この、中を全く確認できない確認窓を新しいものと交換します。
マスターシリンダーを完全に取り外さずに、マスターシリンダーが水平になる位置へ移動させる
ブレーキフルードは、塗装を痛めてしまう性質があるので、万が一ブレーキフルードをこぼしてしまった時のために、あらかじめ車体をビニールシートなどで覆って養生(保護)しておきます。

ノーマルハンドルの車体であれば、ハンドルを左に切ればマスターシリンダーが水平になるのかもしれませんが、おじさん(筆者)のジョーカー90は少し幅が狭い物に交換されている様なので、ハンドルを左に切ってもマスターシリンダーが水平になりません。
マスターシリンダーの取り付けネジを緩めて、水平位置になる場所にしっかりと固定しました。
確認窓の取り外しの下準備
確認窓は、内側に8mmのラチェットレンチのソケットを当てて、叩き出す予定です。
ディスクブレーキの配管経路に空気を噛み込まない範囲で、出来るだけブレーキフルード液を抜き取ります。
(最悪のパターンで、ブレーキフルード液をこぼしてしまった場合は、すぐに水洗いすれば良いようです)
マスターシリンダーの蓋を外し、スポイトで作業の邪魔になる量のブレーキフルード液を抜き取ります。

ブレーキフルード液は必要最低限の量を残す状態にします。
ここで注意点の説明

画面内に説明書きした通りです。
ブレーキフルード液が出入りする穴を液面から上に出してしまうと、そこから空気が入り込んでしまうので、あとで空気抜きの作業が必要になります。
この時に、ブレーキフルードタンク内の汚れを取り除いておきましょう。
この状態で、確認窓を打ち出して外しても良いのですが、打ち出すときのブレーキフルードの飛散防止(悲惨防止)と、空気の噛み込み防止のために、液面にラップフィルムを置き、ブレーキフルードが飛び散らないようにしました。

ここまででようやく下準備完了です。
確認窓の取り外し
ハンドルを体で押さえつけ、8mmのソケットをブレーキフルード量確認窓の内側にはめ込み・バールの平らな部分を当てて・ゴムハンマーでバールをコンッと叩くと、簡単に窓の奥の部分と表面の平らな部分が外れます。

この作業で外れるのは、確認窓の奥と表面の平らな部分のみです。

ブレーキフルード確認窓の
外側の樹脂部品の一部・Oリング はまだ取り外せません。
マイナスドライバーを使って無理やり取り外そうとしても引っ掛かる場所がありません。
でも、大丈夫!
一番奥のOリングを先に外せば、後は簡単に外れます。

写真では少し特殊な工具を使っていますが、このOリングは再利用しない予定なので、傷つけてしまっても大丈夫です。
安全ピン・プッシュピン・楊枝・竹串 等のとがった物でOリングを突き刺して内側に引っ張り出せば簡単に外れると思います。
最後に、残された樹脂部品の筒状になった部分を取り外します。

Oリングを抜き取った溝にマイナスドライバーを差し込みブレーキフルード確認窓の外枠を取り外します。
*この時の作業のコツ
てこの原理でブレーキフルード確認窓の外枠を外すのではなく、Oリングが入っていた溝を広げるようにマイナスドライバーを回すと簡単に外枠を外す事が出来ます。

古い確認窓が外れたら、綺麗に掃除します。
*新しい確認窓を取り付けた後にブレーキフルードが漏れ出すと大変なので、0リングがはまる部分を重点的にしっかりと掃除します。
ブレーキフルード確認窓の入手方法
ブレーキフルード確認窓は、ホンダ純正では販売されていません。
そこでおじさんが見つけ出したのがこちら
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交換したい部分は一ヶ所なので一組入手出来れば良いのですが、他の物も調べてみた結果 5セットの物を入手しました。(価格と個数で判断)
5セットもいらないのですが、考え方を変えれば 3~4回失敗が許されるという心の余裕が生まれます。
今後、2年に一度のブレーキフルードの交換時毎に新しい窓に取り替えもできます。
購入したブレーキオイル確認窓の検品

5セットのオイル確認窓が一つの袋に入っていたので少々傷がありますが、このくらいの傷は気にしない事にします。

届いた製品の5個 すべての製品にバリがありました。ここは綺麗に成型する必要がありそうです。
写真では中心の金具が斜めになっていますが、この部分は軽くはめ込んであるだけなので 指で軽く押し込むと綺麗にはまりました。

ブレーキオイル確認窓のバリ取りをして形を整えます。
新しい確認窓の取り付け
新しいOリングを先に挿入します。

0リングを確実に奥にセットし、
ブレーキフルード確認窓本体をかるく取付穴に差し込みます。

指の力で押し込もうとしてもこれ以上は押し込めません。
ここからはダイソーで購入したFクランプを使用して確認窓を圧入していきます。

Fクランプを利用して確認窓を圧入する時のポイントは、
Fクランプの先端方向の鉄が平らな部分で確認窓を圧入する事です。
Fクランプの移動側は自在に動くようになっているので、こちらを確認窓側にしてしまうとまっすぐに圧入する事が出来ません。
*写真のようにFクランプを使用しても確認窓がまっすぐに圧入できない場合は、Fクランプの位置を調整しながら少しずつまっすぐに修正して圧入すれば問題ありません。
おじさん(筆者)は、確認窓を直接Fクランプで圧入していますが、確認窓の傷つきなどが心配な方は布などをはさみこんで傷つき防止をすると良いかもしれません。
布などを挟み込まなくても、窓より周りの枠が飛び出しているので、窓に傷がつく心配はありません。
・おじさん(筆者)は、圧入で確認窓を取り付けましたが、確認窓に当て木をしてゴムハンマーなどで慎重に叩き込んでも、取り付けが出来そうです。

写真のように、中の0リングが潰れて広がる状態になるようにしっかりと奥まで圧入します。
ブレーキフルード液の確認窓の取り付け終了です。
後は、逆の手順で作業を進めて組み立てていくだけです。
・液面を覆っていたラップフィルムを慎重に外し、
・前準備でスポイトで吸い取った 泥水 ブレーキフルードを元に戻し、必要に応じてブレーキフルードを継ぎ足し、

ブレーキフルードタンク一体型のマスターシリンダーのフタを閉めて、
ブレーキレバーの位置を調整すれば作業終了です。

ブレーキフルード量確認窓が透明になり、ブレーキフルードの量がはっきりと目視できるようになりました。
作業中にブレーキフルードが垂れたり、飛び散ってしまった場合は、この後すぐに洗車をしましょう。
ブレーキフルードは水性なので、水で丁寧に洗車すれば塗装面が後になってはがれてくるような事はありません。
結果と感想
すでに公開している記事では、(ブレーキフルード液タンク一体型)マスターシリンダのオーバーホール作業中に確認窓を交換する手順を紹介しています。しかし、その記事の手順に従う場合、①ブレーキフルードを抜き取る②マスターシリンダーを取り外す③確認窓を交換する④マスターシリンダーを取り付ける⑤ブレーキフルードを注入する⑥ディスクブレーキ配管内のエア抜きを行う、という非常に手間のかかる作業が必要になります。
ブレーフルード液の確認窓を交換するために、どれだけの人がそこまで手間をかけるのだろう?という疑問から、今回はマスターシリンダーを取り外さずに確認窓の交換作業を試してみました。
結果:マスターシリンダーを外さずにブレーフルード液の確認窓を交換する事に成功しました。
作業時間も大幅に短縮でき、ディスクブレーキ配管内のエア噛みリスクも減らせたのが嬉しいポイントでした。
ブレーキフルード液の確認窓が綺麗になったことで、液不足によるブレーキの効きの悪化リスクが軽減されたうえ、窓が綺麗になったことでの満足感も味わえました。
まとめ
ホンダ・ジョーカー90のような純正部品の入手が困難な古いスクーターでも、工夫次第で自分でメンテナンスすることができます。
自分の愛車を自分でメンテナンスを行っていくと少しづつでも、知識量・技術力が向上していきます。
ブレーキ液の確認窓が曇ったりひび割れたりして中が見えなくなっている場合は、ぜひ窓の交換作業に挑戦してみてください。
以上、

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