ホンダ・ジョーカー90のサイドカバーを外してみたところ、
・サイドカバー固定用の爪が1ヶ所折れて無くなっており、
・サイドカバーの下部に欠けた場所があり、
・サイドカバーの前方上部にこけて（転んで）付いたと思われるえぐれた部分があり、
・サイドカバーを止めるネジ取り付け部が折れていました。
この4か所を格安で何とか修理してみました。
スクーターカバーの爪複製（再生）欠け修理
サイドカバーの下側に一部欠けてしまった部分があります。
サイドカバー前方上側にはコケて（横転して）付いたと思われる擦り傷があります。
この部品（サイドカバー）は今では入手が難しくなっている純正品（25年以上前のオリジナル部品）が付いているようです。
パチモン（社外製同等品≒偽物）の部品を購入してお手軽修理では無く、オリジナルの部品を大事に修理して使いたいと思います。
こういう場所の補修は、
武藤商事の造形補修剤のプラリペアと、型取りくん をセットで使えばうまく直せることは過去の経験から分かっています。
プラリペアは、溶着補修（接着させるプラスチックの表面を少し溶かして化学結合）・又は接着させるのでとても丈夫に接着や造形が出来ます。（＊接着出来ないプラスチック製品も有ります）
ちなみにおじさん（私）のプラリペアの使い方は、すきまに粉末を置いてから液体をかける派 です。
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しかし、造形補修剤プラリペアは、粉が5gしか入っていません。
（この爪1カ所を直すだけで2グラムくらいは粉が必要な気がします）。
プラリペアはとても優れた製品なので、この商品で直せば良いのですが、お値段が高めです。
性能対比では高いとは思いません（これだけ高性能の物だからこの値段はしょうがない）が、たくさんの量を使うのは、おじさん（私）の懐具合がよろしくありません。
ホンダ・ジョーカー90を修理するにあたって、何か所の爪の複製が必要になるのか分からないので、格安で爪複製の方法を考えてみました。
１００均ショップ製品でプラリペアの代替品を探してみました。
造形と接着が出来る様な便利な物が１００均ショップにあるのか？不安要素たっぷりでダイソーの店内を物色。
見つけました！
・エポキシ2液混合タイプ強力接着剤￥110
・おゆプラ は、型取りくんの代用品として以前から愛用しています。（何度でも再利用可能なため、3個入のうち1個しか使っていません）
たしか、エポキシ樹脂っていう物が存在している覚えがあるので少し調べてみました。
エポキシ樹脂とは：エポキシを基に有する化合物の総称で、スイスで歯科材料用として開発された物のようです。
・長所：耐水性や耐食性・耐溶剤性 に優れている。
・短所：紫外線に弱い。
このエポキシ2液混合対応強力接着剤で壊れた部品の複製や造形が出来れば、値段の事は気にせずに何ヶ所も直す事が可能です。
スクーターカバーの折れて無くなってしまった爪の複製 具体的な作業工程
作りたい爪の型どり方法
おゆプラ（型取りくんの同等品）を８０℃以上のお湯に入れ約３分温めます。
おゆプラが柔らかくなったら、火傷をしないように箸などで取り出し。
水気をふき取ります。
手で触れる程度に温度が下がったら柔らかいうちに、作りたい形と同じ形の 壊れていない爪で型を作ります。
この後の爪複製の取付位置・角度なども正確に複製できるように爪の根元部分も大きめに覆って型を取ります。
おゆプラが作業途中で固くなってしまった場合は、再度お湯につけて柔らかくさせて作業を続けます。
作りたい形の物をしっかりと覆って密着させて型どりした後、水で冷やしておゆプラ を固めます。
大事な所・問題 は、型どりした物のどこに切れ目を入れて外せば、後の成型樹脂（エポキシ2液混合タイプ強力接着剤）の流し込みが上手くいくかです。
写真の方向から見て上部と左側（爪の先の方）へ切れ込みを入れて、おゆプラを外しました。
後の造形剤注入の利便性を考えての切断方向です。
爪の取り付け部まで含めて作った型を今回複製したい爪が折れてしまった部分に被せます。
型を根元部分までしっかりと作ってある為、簡単に位置決めが出来ます。
複製したい爪の部分に造形補修剤を注入
造形補修剤って言いきってしまっていますが、使うのは エポキシ2液混合タイプ強力接着剤です。
クッキングペーパー（シリコーン樹脂加工紙）の上に、エポキシ2液混合タイプ強力接着剤のＡ液とＢ液を同量出して付属のヘラで良くかき混ぜます。
Ａ液とＢ液を同量（同じ長さ）出したつもりだったのですが、粘度や表面張力の違いでしょうか？
写真を撮るときには大分量が違うように見えました。
Ａ液とＢ液を付属のヘラ（フッ素樹脂製？）で、まんべんなく混ぜ合わせる事が成功への大事な項目だと思います。
正直な話、おじさん（私）は2液混合接着剤ってものを始めて使いました。
初めてのことをやるときは何かとミスを起こしがちです。
Ａ液とＢ液をまんべんなく均一に混ぜ合わせる事だけに注力した結果、多くの気泡が発生してしまいました。
この接着剤はＡ液とＢ液がそれぞれ12g 合計24グラム入っていて、たったの110円です。
失敗したらまたやり直せばいい、という軽い気持ちで小さな気泡が発生してしまったまま作業を続けます。
問題は注入方法です。
スクーターのサイドカバー部の折れて無くなってしまっている爪の複製（再生）準備は完了です、
型作りＯＫ
造形補修剤準備 ＯＫ
問題は、型の中へどのような方法で造形剤を隙間なく注入するか？です。接着剤を混ぜたヘラですくって入れるのでは型の奥まで造形補修剤を注入できるのか不安です。
注射器の様な物があれば一番良いと思うのですが、近くの100均ショップ（ダイソー）で売っている注射器みたいな物（化粧品コーナーあたりにあります）を1回限りで使い捨てではコストがかかり過ぎです。
・・・金が出せないなら、代わりに知恵を出せ。・・・考えるんだ！俺！
（実際は接着剤を混ぜ合わせる前にあらかじめ用意しておきました）
ひらめきました。
厚手のビニール袋の端を使えばいいじゃないか！
ケーキ屋のクリーム絞り袋みたいに使って。
使い古しのジップロックの袋
（浴室でタブレット端末を使いたいという我が子に対して、「防水タブレット端末が欲しかったら自分が社会に出てから自分で稼いだ金で買え」という言葉を添えて、そっと差し出してあげた大きなジップロックの袋（タブレット端末の防水ケース代わり）です。数十回は使っています。）
厚手のビニール袋（ジップロック）の底の端を少し切り取って、そのカド以外をひっくり返した状態で造形補修剤をヘラですくい取り、ビニール袋の底に入れ込み。
空気抜きを行ったうえで、複製（再生）させたい爪の型の中に注入しました。
造形補修剤（エポキシ2液混合タイプ強力接着剤）を注入後、型の開いてしまったすき間を合わせるために養生テープで固定します。
ついでにスクーターのサイドカバーの欠け部分とコケて傷付いたと思われる擦り傷部分も補修
欠損部分は裏側から養生テープを貼り付け、フリーハンドで適当に造形補修剤（エポキシ2液混合タイプ強力接着剤）を盛りつけ。
コケて傷付いたと思われる擦り傷部分は接着剤に付属されていたヘラで造形補修剤（エポキシ2液混合タイプ強力接着剤）を塗り付けました。
この部分は塗り付ける工程で気泡が抜け出て、気泡が無い状態に塗り付ける事が出来ました。
今回使ったエポキシ2液混合タイプ強力接着剤の台紙には 約10分で硬化 と書かれていますが、この表記は接着剤として薄く使った時の硬化時間だと思われます。
厚く造形した場合には中心まで硬化するのにどのくらいの時間を要するか不明です。
4時間後（昼食を食べ、優雅にお昼寝後）に確認・ヤスリ掛けで成形補正
複製した爪部分です。中心に大きな気泡が入ってしまっています。
バリは後で削り落とせばよいのでぎりぎり及第点って感じでしょうか。
この子（エポキシ2液混合タイプ強力接着剤）、使える子です。
（柔軟性は有りませんが）
複製した爪は、爪に対して直角に付く予定だった部分が造形されていません。
理由は、たぶん 養生テープで固定する時に力を入れすぎて狭い縦溝部分の接着剤を押し出してしまったのではないかと思われます。
横の爪
型どりした爪とほぼ同じ形に仕上がっています。
ヤスリで少し成型してあげればほぼ元の形で機能してくれそうです。
欠け（欠損）部分表側
フリーハンドの盛り付けが雑過ぎたようです。
欠損部上部の盛り付けが足りていません。
欠け（欠損）部分裏側
成形（ヤスリ掛け等）の必要が無いくらい綺麗に成型されています。
養生テープは表側に貼り付けて成形すべきでした。
コケて傷付いたと思われる擦り傷部分は気泡も無く綺麗に成型されています。
この後、棒ヤスリや耐水ペーパー（耐水紙やすり）での水研ぎで形を整えました。
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サイドカバーの折れ部分修理
サイドカバー前端部のネジ止め部分が根元から折れてしまっています。
ネジ止め金具を外して、綺麗に破断面を掃除後接着します。
養生テープでしっかりと位置決めをしてゼリー状瞬間接着剤で接着固定します。
接着剤の接着力なんて信用できない。と、思い続けた（言い続けた）おじさん（私）の、接着剤に対する考えを少し覆してくれた製品です。（ダイソーのゼリー状瞬間接着剤）
今まで使った事がある瞬間接着剤の中では、一番接着力が強い。と信じている製品です。
この接着剤で接着させて、すぐ壊れる様であればプラリペアで再度修理する事とします。
(＊後にすぐ外れてしまい、エポキシ2液混合タイプ強力接着剤で接着・補強を行いました）
ゼリー状瞬間接着剤を出したついでに、成形した爪の大きな気泡部分と欠け（欠損）部分の接着剤盛り付け不足部分 もゼリー状瞬間接着剤で補強（穴埋め）しました。
造形作業終了後・塗装
エポキシ樹脂の短所：紫外線に弱い。
という事を考えると、成形されて固まったエポキシ樹脂に塗装をして紫外線に直接あたらないように上から塗装しておけば問題は解決できると考えます。
通常、バイクや車の塗装時の手順としては、
①塗装面の下処理・足付け と呼ばれる方法で、塗装したい場所に細かい傷を付けて塗料が密着しやすくする。その後・洗浄・脱脂。
②プライマー塗装＝下塗り塗装 塗装面と塗料の密着性を高める為の塗装をごく薄く行う。
③塗装する（バイクや車の場合 2液反応硬化型ウレタン塗料 が理想です）。
といった工程を取るのですが、
おじさん（私）は、綺麗なカスタムバイクを作りたいわけでは無く、単純に2ストバイクを快適に乗り続けたいだけなので、外装などは極力手抜きでそこそこの見栄えになれば良しとします。
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塗装面の下処理・足付け
語り始めると話が長くなりますので、簡単に説明。
塗装が素材に密着しやすいように塗装面に細かい傷を付けて表面積を大きくします。
以前から持っていた３M スコッチブライト不織布研磨材で力を入れずにそっと水研ぎしました。
＊注意：綺麗に塗装を仕上げたい方はマネしないでください。もっと細かな耐水ペーパーなどですべき作業です。
塗装がはがれかかっていた所などまでこすった結果上の写真のようになりました。
全体に細かい傷がついてくもったような表面になっています。
下塗り塗装はせずにいきなり塗装
先ほども述べた通り、綺麗なカスタムバイクを作ろうという訳では無いので、
お気軽・簡単・格安 塗装を行います。
もしも塗装がはがれてしまったら、・・・対応はその時に考える事とします。
用意した物は、
・ホームセンタで購入した安い水性スプレー塗料
（水性スプレーは、完全に乾燥した後はガソリンや水がかかっても溶けたり剥がれ落ちたりしません）
・Sカン（S字型の吊り下げ用の金具）
・パーツクリーナー（塗装前の脱脂の為に必須です。）たぶん 手指消毒用のエタノール液等でも代用可能です。
・使い捨てのペーパータオル（キッチンペーパーで代用可）
・今回塗装したい部品 スクーターのサイドカバー です。
塗装面の油付着は厳禁です。
パーツクリーナーをたっぷりと吹き付けて、綺麗なペーパータオルで油分や細かいゴミなどをふき取ります。
ネジ穴を利用してＳカンで吊り下げ。
画像の色の再現性が悪いのですが、艶あり黒の水性塗料を吹き付けた直後の写真です。
複製した爪の部分にもまんべんなく塗装しました。
塗装の量が少し多すぎたようです。
塗装後
かなり雑な仕上がりですが、遠目でぱっと見ではそこそこの仕上がりです。
サイドカバーの欠け部分の補修はエポキシ接着剤の盛り付け不足で完全に平らには出来ませんでしたが、とりあえずはＯＫとします。
サイドカバー上部のコケ傷も、完璧には程遠い状態ですがそこそこ綺麗になりました。
爪の部分は ぱっと見ではどの爪が折れていたのか分からないくらいに再生補修できました。
下の物が今回修正した左側のサイドカバー
上の物が未修正の右側のサイドカバー（上半分はほぼ修正ペンで塗られています）
（この写真を撮影後、瞬間接着剤で取り付けた ネジ金具を取り付ける部分が外れてしまい、エポキシ2液混合タイプ強力接着剤で接着と裏面に接着剤を盛りつけて補強しました。）
まとめ
スクーターの外装部品／樹脂製品の爪 複製（再生補修）はプラリペアを使わなくても１００均ショップのエポキシ2液混合対応強力接着剤で再生可能でした。
型どりの部材も１００均ショップの製品で充分対応可能です。しかも何回でも再利用可能です。
完璧に綺麗にする為には細かい凹み部分の補修、プライマー塗装、塗装の重ね塗り、耐水ペーパー（耐水紙やすり）やコンパウンドを使用して綺麗な表面に仕上げる。等の手順が必用です が、他に修理しなければいけない部分が沢山ありますので、今回はこれで完成とします。
以上、
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