中古で購入した、油圧ブレーキのブレーキキャリパーのオーバーホールを行っているのですが、作業の中で【キャリパーピストンの取り外し】という、大事な作業があります。
教科書(ホンダ・ジョーカーのサービスマニュアル)通りに作業を行う場合は、
ブレーキホース取り付け口から低圧の圧縮空気(コンプレッサーエアー)を少しずつ吹き込んでピストンを押し出す。
という事になっています。
おじさん(私)は、コンプレッサーを持っているので、この作業は簡単に済みそうですが、
このブログは一般の方が自分のバイクは自分で直す為の参考書代わりになれば良いな。と思って書いていますので、
今回はコンプレッサーエアーを使わずに、一般家庭にありそうな物を使ってブレーキキャリパーのピストン抜きを行ってみました。
結果
*自転車の空気入れを使ってブレーキキャリパーのピストン抜き成功。
*全バラしてのブレーキキャリパーのピストン抜きの場合は、シリコーンスプレーを吹き付けながらペンチなどで引き抜く事も可能かもしれません。(車体にブレーキキャリパーが付いた状態でシリコーンスプレーを使ってはいけません)
*ブレーキキャリパーのオーバーホールのまとめ記事は後日 作成・公開予定です。
中古で入手したブレーキキャリパーは想像していたより、ひどい状態でした
購入した中古の油圧ブレーキキャリパーは、価格重視で購入した為、非常に状態が悪い物です。
ヤフオクで安価で落札したのは良かったのですが、到着した物を確認すると思った以上にひどい状態です。
ブレーキパッドを取り外すだけでも、かなり苦労しましたが、その話は後日 別記事でまとめて紹介します。
固着しているキャリパーピストンを外すのは難しい。
ブレーキキャリパー分解途中、キャリパピストンの引き抜きから話を進めます。
コンプレッサーエアーを使えない状態でキャリパーピストンを外す場合、
ディスクブレーキ キャリパーピストン 脱着ツール(キャリパーピストンプライヤー) という名の工具を使用します。
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キャリパーピストン 脱着ツール(キャリパーピストンプライヤー)は通常のペンチなどと違って、柄の部分を握るとペンチ?の先が開く構造の物です。
キャリパーピストンプライヤーでピストンを内側から固定して回転させながら引き抜く。
という作業になります。
キャリパーピストン 脱着ツールを使うと、キャリパーピストンの内側に傷がつきますが、キャリパーピストンの内側は傷がついても性能上の問題にはなりませんし、組付けてしまえば傷跡も外からは見えません。
しかし、キャリパーピストンのオーバーホールなんていう作業は何回も行う作業ではありません。
キャリパーピストン脱着ツール(キャリパーピストンプライヤー)を購入し簡単に作業が出来たとして、次回使う時まで仕舞った場所を覚えている自信が無いので、今回は購入を見送りました。
(しかし、バイク弄りだけでなく いろいろな機械弄りなどで隙間を広げたいという場面ではブレーキキャリパー脱着ツールを流用して使えそうです)
ウォーターポンププライヤー(口が大きく開くペンチみたいな物)を使ってキャリパーピストンの固着確認
ブレーキキャリパーのオーバーホールで、キャリパーピストンを再利用する場合は、原則としてキャリパーピストンの外側を傷つける事は厳禁です。
しかし、キャリパーピストン先端から5mmくらいまでの位置であれば傷がついても理論上は大丈夫なはずです。
ブレーキキャリパーのシリンダー側のシールより外側であれば多少傷がついても大丈夫です。
しかし、大きな傷がついた場合等は作業後にバリ取りを行いましょう。
(後述しますが、ホンダ・ジョーカー90の場合 ピストンの端面から7mmくらいまではピストンの外側に小さな傷がついても大丈夫です)
今更ですが、ウォーターポンププライヤーでキャリパーピストンをつかむときにゴムベルトか何かをはさみ込んで掴めばよかったかな?と、思っています。
ウォーターポンププライヤーでブレーキキャリパーピストンをつかんで回してみると、ピストンは完全に固着するほどひどい状態ではなく、回す事が出来ました。
ピストンを再利用しないなら力ずくでピストンを抜き取っても構わないのですが、このピストンが再利用できる可能性がゼロでは無い為、極力ピストンの外側を傷つけず、しかも一般家庭にありそうな物でピストンを抜き取る方法を考えます。
自転車の空気入れを使用してキャリパーピストンを抜いてみました。
都会に住んでいるかたは、自転車の空気は自転車屋さんのサービスで入れてもらったり、バイクの空気はガソリンスタンドで給油のついでにサービスで入れてもらったりするのでしょうが、都会以外の多数の地方に住んでいる方の家にはたいがい自転車の空気入れがあると思います。
我が家の自転車の空気入れには、いろいろなアダプターが付いていますが、使った事があるアダプターは
・自転車(バイクや自動車)の空気入れのアダプターと
・ボールに空気を入れる針状のアダプターのみです。
細いテーパー状のアダプターは浮き輪などに空気を入れる時に使用する為の物ですが、太いテーパー状のアダプターはおじさん(私)の思い浮かぶもので使う場面が思い浮かびません。
使用したことが無い(最悪の場合、今後使えなくなっても困らない)太いアダプターを使ってキャリパーシリンダーの押し出しをしてみました。
ブレーキホース取付口のボルトとブレーキホースを取り外した場所(ブレーキバンジョーボルト取り付け部)から空気を入れてキャリパーピストンを押し出す作戦です。
結果から書くと、もう一人助手がいて、空気入れの差込口をしっかりと押えていてもらえば、簡単にキャリパーピストンを抜き取る事が出来たと思うのですが、
あいにく、一人での作業です。
空気入れのアダプターをブレーキキャリパーにしっかりと密着固定させようと。試行錯誤の結果
自転車の空気入れのアダプターをペンチでつかみ、無理やりねじ込めるだけねじ込みました。
上の写真では、アダプターのネジ部にシールテープが巻いてありますが、これは意味が無かったようです。
この状態でもまだ少し空気が漏れるのですが、自転車の空気入れを何回か操作すると、
ほんの少し(1~2mm)ピストンが飛び出て、錆びていないきれいな面が見えてきました。
【自転車の空気入れを使って、ブレーキキャリパーシリンダーの取りだし(押し出し)】
行けそうです。
キャリパーシリンダーの引き抜き(押し出し)の可能性が見えてきたので、
ピストンが飛び出した勢いで何か不測の事態になる事を避けるため、ウエスを挟み込んで、
後は、多少の空気漏れは無視してひたすら自転車の空気入れで圧縮空気を送り込みます。
抜けました!
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ブレーキキャリパーピストンを抜いた後の観察
キャリパーシリンダーの底は、さび色の汚れが付いています。
どのくらいの期間、ブレーキオイルを抜いた状態で放置されていたのでしょうか?
無理やりねじ込んだ自転車の空気入れのアダプターの先端が、キャリパーシリンダーの左底に見えています。
底つきするまで無理やりねじ込んだ状態で作業したようです。
無理やりねじ込んだ自転車の空気入れのアダプターを回転させながら抜いてみると、
ネジの痕が付いている部分とついていない部分があります。
ネジの痕が付いていない部分から空気が抜けてしまっていたようです。
→アダプターの先端の細い部分を切り取って短くし、アダプターの根元の太い部分までねじ込んで使用すればもう少し簡単にピストンを抜き取る事が出来た ような気がします。
全バラ・OH の場合は、シリコーンスプレーとペンチだけでブレーキキャリパーピストンを抜く事が出来たかもしれません。
部品レベルまで分解してオーバーホールをする場合はブレーキキャリパーピストンにシリコーンスプレーを吹きかけてペンチで引き抜けば簡単に引き抜く事が出来るかもしれません。
(今までの苦労はなんだったんだ。っていう話です)
ディスクブレーキキャリパーの内側には2つのゴムシールがはめ込まれています。
奥のシールは、オイルシール(ブレーキオイルを染み出させないための部品)
手前のシールは、ダストシール(ゴミを中へ入れない為の部品)です。
(このシールセットは2023年7月に、メーカー在庫があり正規品を購入済みです。)
ディスクブレーキキャリパーのピストンは、再利用できないかと一縷の望みをかけて時間をかけて掃除して見たのですが、錆が酷くて再利用出来そうにありません。
シールは交換部品を入手済みで傷つけてしまっても大丈夫なので、錆び付いたピストンを差し込んでピストンの先端からどのくらいの位置までならばピストンの外側に傷を付けてしまっても大丈夫なのか?(ピストンの外側をペンチでつかんでも大丈夫な寸法)確認してみました。
教科書(サービスマニュアル)を読むと、組付け時にダストシールにシリコーングリスを塗布する事になっています。
ダストシールとピストンにシリコーングリスを塗布して、ピストンを一番奥まで挿入してみました。
ピストンの飛び出し量は7mm弱(器差±0.1mmのデジタルノギスで測定すると6.9mmでした)
押し込んだピストンをペンチ(プライヤー)でつかんで引っ張ってみると・・・・・
何という事でしょう!
シリコーングリスを塗布したブレーキキャリパーピストンは、大した苦労も無く抜き取る事が出来ました。
➡ブレーキキャリパーピストンにシリコーンスプレーを吹きかけてペンチで引き抜けば簡単に引き抜く事が出来た可能性があります。
ピストンを引き抜いた後、シリコーングリスが残っている部分からピストン先端までの寸法を測ってみると、約8mmでした。
➡ホンダ・ジョーカー90のブレーキキャリパーピストンを引き抜く時に、ピストンの外側に少しくらいなら傷がついても大丈夫な寸法は(少し余裕を見て)7mmくらいです。
(大きな傷が出来てしまった場合は、ヤスリ等でバリ取りを行う必要があります)
まとめ
ホンダ・ジョーカー90のブレーキキャリパーのピストンを抜く方法は
- 教科書(サービスマニュアル)通りに行う場合、
ブレーキホース取り付け口から低圧のコンプレッサーエアーを少しずつ吹き込んでピストンを押し出す - ディスクブレーキ キャリパーピストン 脱着ツール(キャリパーピストンプライヤー)でピストンを回転させながら引き抜く
- 自転車の空気入れを使ってピストンを押し出す方法も有る
- シリコーンスプレーを吹きかけながらペンチ(プライヤー等)でピストンをつかんで抜く事が出来るかもしれない。
という結果になりました。
ちなみに、ブレーキキャリパーピストンは(2024年3月現在)メーカー在庫がまだありましたので後日HONDA正規代理店から購入しました。
以上、
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