2ストスクーターで、ベルト変速駆動車なのに、オイル交換って必要なの?
使うオイルって、ガソリンと一緒に燃える2ストオイルだけ入れておけば良いんじゃないの?
と、思っているあなた。
エンジンの出力軸の回転はベルトを介して後輪の部分のドリブンプーリの部分に伝達されますが、この力を更にギヤで変速させて後輪を回しています。
・正確には減速させて力(トルク)を増加しています。
このギヤの組み合わせ部をファイナルリダクションと呼びます。
この変速させるギヤの部分はオイルに浸かって潤滑されていますので、オイルの管理は実は大事なことなんです。
サービスマニュアルで確認すると、交換時期は4年毎交換となっていますので、それ程シビアに考える必要は無さそうです。
しかし、中古で入手した車体などは歴代のオーナー様の整備履歴がわからないので、いつギヤオイルを交換したのか不明です。
中古でスクーターを購入したかたは早めにオイル交換を行っておくことをお勧めします。
実はジョーカー90を落札後一度オイル交換をしているのですが、記事にしていなかったことに気付き1回目のギヤオイルの交換の様子と2回目のギヤオイル交換の様子を写真付きで紹介します。
1回目のオイル交換時は汚れた真っ黒なオイルだった為早めに2度目のオイル交換を行いました。
この記事では解りやすく、写真付きでトランスミッションオイルの量の確認方法とオイル交換の手順を紹介します。
トランスミッション/ファイナルリダクションのギアケース の場所と、オイルの点検・交換のネジ穴の位置説明
後輪の左側、エンジンユニットの一番後ろにオイルの確認位置があります。
参考までに、チェックボルトの上を拡大してみると
HF05E
600****
OIL
0.12ℓ
と、刻印されています。
- エンジン型式:HF05E です。当時販売されていたリード90・ブロード90・キャビーナ90 等 が、同じ型式のエンジンを搭載していました。
- エンジンの製造番号:600****(下4桁は伏字とさせて頂きます)
バイクの車体番号は別途バイクのフレームに刻印されています。 - トランスミッション/ファイナルリダクションのオイル規定量0.12ℓです。
*サービスマニュアルには、オイル量(交換時):0.11ℓ と書いてあります。
通常点検オイル交換を行っている方は定期的にオイル漏れおよびオイル量の確認を行いましょう
*わざわざ書く事でもない当然の事なのですが、安全確保のため必ずエンジンを停止した状態で作業します。(基本中の基本です)
作業の第一段階は、ファイナルリダクションのギヤケース周辺にオイル漏れないか確認です。
目視・ギヤケースの下部を触って オイル漏れが無いことを確認します。
オイル量の点検
火傷防止の為、走行直後等オイルが熱い状態で作業しないでください。
走行後エンジンが冷めてから作業開始です。
メインスタンドをかけて車体を垂直にします。
オイルチェックボルトを外します。
ネジ頭のサイズは対辺14㎜です。
ボルト穴下端まで油面があるか点検します。
油量が少ない場合はオイルをボルト穴下端まで補充します。
ジョーカー90が販売されていた当時のサービスマニュアルで確認すると、
推奨オイル:
・ホンダ純正ウルトラU(4サイクル二輪車用)SAE10W-30
・API分類SE級のエンジンオイル
と記載されています。
しかし、2024年現在 ホンダ純正ウルトラU(4サイクル二輪車用)SAE10W-30(SE級) などと言う時代遅れの(前世紀/20世紀の)4サイクルオイルは正式には販売されていません。
(ヤフオクやメルカリで古いオイルを販売しているパターンはあります)
おじさん個人の考えですが、上位互換であれば問題無いと判断し、(家にあった)農機具に使う4サイクルオイル SL級 10W-40 のオイルを使用しました。
・前回のオイル交換から数百km走った段階では何の問題も起こっていません。
*サービスマニュアルを基にしてここまで説明してきましたが、
・実際はボルト穴まで油面があるか点検 は、目視ではほぼ不可能です。オイル量点検(補充)時にはオイルを少し継ぎ足して、あふれ出るオイルが止まるまで待つ。という方法が現実的ではないでしょうか。
・車体を無理やり左側に傾けて、オイルがこぼれるかどうか という確認方法も否定はしません。
オイル量点検の場合はこの後オイルチェックボルトを締めて、こぼれたオイルをきれいに拭きとれば作業完了です。
シーリングワッシャーを新品に交換してオイルチェックボルト部を締め付けます。
締め付けトルク:13N・m(1.3kgf・m)
*ねじの締めすぎに注意!相手はアルミの雌ネジです。力を入れすぎると簡単にネジが壊れて修理不可能となります。
シーリングワッシャーは正式には新品にかえるのですが、おじさん(私)は再利用しています。
(今のところ問題はおきていません)
オイルの交換方法
メインスタンドをかけて車体を垂直にし、オイルチェックボルトを外すところまでは先述の通り行います。
オイル受けの容器を置き、ドレンボルトを外します。
リヤホイール(後輪)を ゆっくり回し、オイルを排出します。
*サービスマニュアルには記載がない事項ですが、おじさん(私)のジョーカー90はサイドスタンドが付いているので この後 サイドスタンドを使用して車体を傾け更にオイルを排出させました。
オイル受け容器はオイルがしみ出さない物であればなんでも良いです。
ちなみに おじさん(私)はコーティングが剥がれて焦げ付くようになってしまったフライパンを捨てずにオイル交換時等に使用しています。
排出させたオイルは、排出時は一見きれいに見えましたが、透明容器に入れ替えて確認するとかなり汚れていました。
前回オイル交換時に排出しきれなかった汚れも残っていたと考えられます。
オイルが完全に抜けてから洗浄したドレンボルトと新品のシーリングワッシャを取り付け、ドレンボルトを締め付けます。
締め付けトルク:10N・m(1.0kgf・m)
*ねじの締めすぎに注意!相手はアルミの雌ネジです。力を入れすぎると簡単にネジが壊れて修理不可能となります。
この部分のシーリングワッシャはスパークプラグのワッシャーと同じような、ワッシャーを潰して密閉するタイプです。
この部分はワッシャーを潰して密閉させるためどのくらいまで締め付ければ良いのか?素人には判断が難しい場所です。
トルクレンチを使って正確なトルクで締め付ける事をお勧めします。
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車体を垂直に支え、推奨オイルを規定レベルまで補給し、チェックボルトを締め付ける。
オイルの量は、交換時:0.11ℓ(110㏄)という事になっていますが、
今回のように車体を傾けて出来るだけたくさんの古いオイルを排出させた場合は、0.12ℓ(120㏄)近い量を入れる必要があります。
今回は、規定レベルまでしっかりとオイルを入れる為にあえて多めのオイルを入れて少しこぼす事にします。
おじさん(私)が使っているオイラー(オイル注入容器)は横方向に開いた穴にオイルを入れる事が難しいので、先端に短いチューブを取り付けてオイルを入れました。
今回取り付けたチューブは金魚などを飼う時に空気をプクプクさせるためのチューブです。
柔らかいので多少太い部分にも取り付けられますし、曲げて水平の穴に差し込む事も簡単です。(100均で入手できます)
少しだけ多めに入れたオイルがあふれ出し、規定量(チェックボルト穴下端)になるのを待ちます。
オイルがあふれ出るのが止まったら、チェックボルトを規定トルクで締め付けます。(上記参照)
あふれ出たオイルをきれいに拭きとり、オイル交換終了です。
まとめ
2ストのスクーターも、オイル交換が必要な部分があります。
多くの方がこの事実に気が付かず、一度もオイル交換をせずに乗り続けているのではないでしょうか?
オイル交換は難しい作業では無いのですが、ネジの締め付けトルクの管理や廃オイルの処分など面倒くさい部分もありますので、バイク屋さんにお願いしても良いと思います。
バイク屋さん(専門家)にとっては、簡単な作業なので、費用もびっくりするような高額を請求されることはないと思われます。(あくまでも、おじさん(私)の推測ですが、)
ちなみに、廃オイルの処分方法は、ガソリンスタンドに持ち込めば安価で処分して頂けます。
以上、
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