以前の記事
で、早急に交換が必要だと思いつつ、ブレーキが効いているから時間がある時に直そう!
と思いながら、1年以上の月日が経ってしまいました。
冬の寒い時期は作業が出来なかったので、ようやくブレーキディスクとブレーキパッドの交換を行います。
アンダーカバー取り外し (前輪を持ち上げるためにジャッキを当てるフレーム部分を確認するため)
ようやくブレーキの修理を行います。
(センタースタンドの取り付けにこだわり続けている間に1年経ってしまいました)。
ようやくバイク弄りモードに突入しました。
そもそも田んぼの水量を確認・調節する為の下駄替わりとして購入したジョーカー90です。
本来ならば今の時期が一番このスクーターに乗る機会が多い時期なのですが、今年は整備をきちんとする事を優先します。
ブレーキディスクの外し方
取り外したフロントホイール(前輪)からスピードメーターギヤボックスを取り外し。
ホイールのセンター部分を養生テープで保護(土の侵入を防ぎます)。
そもそもこの作業は土の地面の上で行うような作業では無いとは思うのですが、屋根付きの作業場所がここしかないのでしょうが有りません・・・
⦅トラクター小屋です。バイク弄りの間はトラクター様には青空駐車場(野ざらし)で我慢してもらいます⦆
で、
タイヤをひっくり返して、対辺6mm の六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)を使ってサクッとブレーキディスクを取り外し。
・・・・・出来ません。
エクストラロングタイプの六角棒レンチでネジを緩めようとしましたが、びくともしません。
ここは衝撃を与えて一瞬でも回せれば何とかなるはずだ!と思い、
エクストラロングタイプの六角棒レンチをゴムハンマーで叩いてもダメ
金づちを使ってみる工程は飛ばして、ハンマーで叩いてみましたが、このネジはビクともしません。
おまっ、ふざっ!
何なんだ?このネジは!
・・・・・
・・・・・
一旦落ち着こう。
休憩がてら 錆び付いたネジを外す為の浸透潤滑剤で有名な ラスペネ 買っちゃおうかな?などと考えながら、サービスマニュアルをペラペラめくって確認すると
締め付けトルク
フロントディスクボルト:42N・m(4.3kgf・m)アロックボルト(取り外した場合は新品交換)
と書かれています。
(取り外した場合は新品交換)の部分は見なかったことにするか、ネジロック剤塗布でなんとかするとして。
アロックボルト ってなんだ?
調べました。
「アロック」は、「アロンアルフア」で有名な東亞合成株式会社が開発したねじゆるみ止め加工技術で、~中略~ 株式会社南部製作所にアロック事業を譲渡。
株式会社南部製作所のホームページを確認すると、
アロックの特徴
- 繰り返し使用が可能
ねじゆるみ止め止めの方式によっては再使用ができないものもありますが、「アロック」は強靭な特殊ナイロン樹脂をボルトに融着させるため、5回以上繰り返しご使用いただけ、メンテナンスが必要な箇所のねじゆるみ止めに最適です。 - 加工ネジの使用期限が無い
- トルク調整が出来る
- 樹脂の剥離が無い
- 調整ネジに最適
軸力がかからない箇所でも、ねじゆるみ止め効果を発揮します。 - 植物を原料とした11ナイロン樹脂を使用
他にも、ボルト及びナットの回転に抵抗を与える事で、振動や衝撃に対し、高いゆるみ止め効果を発揮します。と、書いてあります。
ちくしょうめ!
世界のHONDA、いい部品使っていやがる!
⦅そういえば、HONDAの汎用エンジンGX31(OHV4サイクルエンジン)を修理した時にも同じようなボルトが使われていて、取り外しに苦労した覚えがあります⦆
単純なネジの固着であれば、最初の一撃で少しでもボルトが緩めば後は何とかなる。 のですが、
アロックボルトの特徴
5.調整ネジに最適
軸力がかからない箇所でも、ねじゆるみ止め効果を発揮します。
という言葉を信じれば、ボルトを緩めた途中のどの位置でも固定される。ということになります。
単純なネジの固着の場合、有名な ラスペネ を使ってボルトを緩められる可能性があるのですが、ネジロック剤を使用した場所にラスペネを使っても たぶん 効果はないと思われます。
固く締まったボルトを外す為にはインパクトドライバーを使う。しか思いつきません。
(メーカーさんの説明に、振動や衝撃に対し高いゆるみ止め効果を発揮します。 と、ありますが、他にネジを緩める方法が思いつきません)(インパクトドライバーは持っているのですが、+No.2 のビットしかありません)
インターネットで部品を探して注文すれば、明日か明後日には手元に到着するのか?
いや、明日は作業にあまり時間をかけられない。
今すぐこの作業に適した工具が欲しい!
という事で、隣町の比較的大きなホームセンターまで買い出しに出かけ、
速攻、購入してきました。
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インパクトドライバーに、購入してきたH6のビットを取り付けて力を調整しながら金づちでこんこんと叩き続けるとほんの少しだけボルトが緩んだ感触が感じられました。
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ここまでくれば、後は一気に充電式インパクトドリルドライバーで緩められるのではないか?
マキタの充電式インパクトドリルドライバーを使って、一気に取り外し
・・・出来ません。
充電池の充電がフル充電状態では無かったことも有るのでしょうが、
今、記事を書きながら写真を見ると、インパクトドリルドライバーの使い方を間違っています。
せっかく六角ビットセットを購入してきているのに、なぜかいろいろなアダプターを組み合わせておかしな使い方をしています。
アダプターを多用した事で衝撃(インパクト)がアダプター接続部で分散吸収されてしまい、充電インパクトドリルドライバーの衝撃の力が先端部では小さくなってしまっています。
こんな使い方をすれば、本来の性能を発揮できるわけがありません。
満充電の充電池(バッテリー)を使い、充電インパクトドリルドライバーに直接六角ビットを取り付けて作業すればこのボルトを緩める事が出来たと思われます。
決してマキタの製品の力が弱くて使えなかった訳ではありません。
この時は、おじさん(私)がテンパっていて冷静な判断が出来ていなかったのだと思います。
結局、どうやってアロックネジを取り外したかというと、
6mmの六角ビット・インパクトドライバー(手動)・金づち を使って根気よくアロックネジを少しずつ緩め。
目視でも明らかに緩んできていることが確認できる状態(1mmくらいネジの頭が上がった状態)まで来た時点で、
両ひざで体重をかけてタイヤを固定し、エクストラロングタイプの六角棒レンチを使い両手で思い切り力をかけてネジを緩め取りました。
エクストラロングタイプの六角棒レンチがたわんで、折れるんじゃないかと思いつつの作業です。
取り外したアロックボルトを観察すると、緑色のねじのゆるみ止め剤がネジの先端部から3溝目から6溝目までついています。
ネジ穴を観察して見ると、白色と赤色のネジロック剤だと思われるものが削りカスのように剥がれているのが観察できます。
前回このブレーキディスクに変えた方がネジロック剤を塗っていたのだと思われます。
ボルトが一本外せれば、後の二本は同じ要領で外す事が出来ます。
取り外したブレーキディスクと、新規に取り付けるブレーキディスク比較
一年以上前に入手したヤフオクの即決価格2,660円のブレーキディスクとブレーキシューのセットです。
MIN.TH.3mm の刻印
回転方向の矢印(→)も刻印されています。
見た目は値段の割にはかなりしっかりした物に見えます。
摩耗による使用限界厚さ 3mm に対し、
約3.4mmしか厚みがありません。
(3.38~3.39くらい)
ジョーカー90は、アメリカンタイプ(クルーズタイプ)のスクーターです。
実際、販売当時はアメリカに輸出されHONDA・SHADOWシリーズの末端(小排気量タイプ)として販売されていたようです。
ジョーカー90/Joker90 ≒ SHADOW90/シャドウ90 のようです。
乗車状況としてはゆったりと乗るタイプの車種なので、
コーナーを攻めるような走りはせず、コーナー直前でフルブレーキングなどと言う過酷な使い方をしないので、摩耗代 0.4mmでも良しとします。
(そもそも購入から1年以上経っています。返品や交換が云々という時期はとっくに過ぎています)
今まで付いていたブレーキディスクは、まだ最大厚さ3.8mmくらいあるのですが、
波打って凸凹に変形しています。
これではブレーキパッドを交換してもまともにブレーキが効くとは思えません。
今までは、ブレーキディスクとブレーキパッドが同じ形に擦り減って、
ブレーキパッドがほとんど残っていないにもかかわらず、
ブレーキディスクとブレーキパッドの接地面が(波打った分)広い為、かろうじてブレーキが効いていたのだと思われます。
ブレーキディスクの取り付け方
ブレーキディスクの取り付けは ➡ マークを表にむけてソケットボルトで取り付けます。
通常、こういった金属製品は防錆油が塗布されています。
ブレーキに油は厳禁です。滑ってブレーキが効きません。
取り付け前にパーツクリーナーをたっぷり使ってきれいなウエス(布)でふき取り、油を完全に除去します。
サービスマニュアルによると
写真付きで説明されている部分には、
ソケットボルトを取り付け、規定トルクで締め付ける。
トルク:42N・m(4.3㎏f・m)
と記載され、サービスマニュアルの写真では新しいソケットボルトを使うという意味の印が付いています。
しかし先に書いた通り、このソケットボルトの正体は
株式会社南部製作所製のアロックボルトです。
(アロックボルトという言葉は、サービスマニュアルのブレーキディスクの取り付け とは別のページに書いてあります。
ブレーキディスクの取り付け時には新しいソケットボルトを使わなければいけない?
この項目は読み飛ばして頂いて構いません。⦅おじさん(私)は話が長くなりがちです⦆
ここまでまじめに文章を読んでくださった方はもうお判りでしょうが、サービスマニュアルに記載されている事と、部品メーカーさんが言っている事が矛盾しています。
車体の製造販売元の本田技研工業株式会社さんは、新しいボルトを使うように指示。
一方、使われているネジのメーカーさん 株式会社南部製作所製の説明では、アロックの特長として、
繰り返し使用が可能
ねじゆるみ止め止めの方式によっては再使用ができないものもありますが、「アロック」は強靭な特殊ナイロン樹脂をボルトに融着させるため、5回以上繰り返しご使用いただけ、メンテナンスが必要な箇所のねじゆるみ止めに最適です。
と書かれています。
どちらを信用するかは、あなた次第(自己責任)です。
もしも自分が、バイクの整備を職業としていた場合は、迷わず新しいボルトに交換します。
お金をもらって整備して、しかも修理部分がブレーキです。お客様の命にかかわる問題にもなりかねない場所の修理は多少金額がかかっても新しいボルトを使います。
この場合(自分が整備士だった場合)お客様から
出来るだけ出費を抑えたいからネジは再利用してください。
などと言われても、
うちはそういう中地半端な修理は出来ないのでネジ代は頑張って払ってください。
と言って、必ずネジを交換します。
ちなみにこのネジは、平成8年10月発行のパーツリストによると
部品番号:90105-MV9-003 ボルト,ディスク 8×24 希望小売価格¥185 使用個数 3 です。
(2023年現在、純正品が入手可能か?バイク屋さんに確認していないので分かりませんが、もし入手できるとして、価格が倍の値段になっていたとしても ¥185×2倍の価格×3本=¥1,110です)
この部品にこの値段をケチって命を削ろうとするようなお客様は・・・・です。
まだ純正部品が入手出来る様であれば、整備士であれば必ず新品に交換するはずです。
サンデーメカニックのおじさん個人として、アロックボルトを再利用するかしないか?
(サンデーメカニックって言葉は死語なのでしょうか?最近聞いたことがない様な気がします。週休2日制になる前の言葉だったと思います)
物の顔を見て判断します。もちろん自己責任です。
再利用できないと判断したら、速攻ケットラ(軽トラック)でバイク屋さんへ行って部品注文!メーカー在庫があれば2~3日で取り寄せできるはずです。
もしも、メーカー在庫が無かった場合(廃番になっていた場合)は・・・やっぱりネジロック剤を塗って再利用・・・ですかね?
ネジの正体と寸法がわかっているので、インターネットが普及した現在は他の入手方法があるかもしれません。
ネジを外した時の写真を拡大してみます。
ネジの先から3山めから6山めくらいの部分が薄い緑色になっています。この部分がアロック加工された部分です。
ネジの他の部分の白い粉はアルミが腐食した物なのか?ネジロック剤が塗られていたのか?不明です。
写真では、光のかげんでアロック加工の一部分が取れてしまっているように見えますが、実際はアロック加工はそのままついていました。
使用限度 5回か ~ ~
でもネジの顔色をうかがうと、アロック加工部はそれほどひどくありません。
たぶん1~2回しか使われていない状態だと判断します。
取り外したネジを軽く掃除して再利用する事とします。
ブレーキディスクの取り付けに話を戻します。
複数のネジが付いた部品を取り付ける場合、実は決まった手順があります。
悪い例
ネジを1本ずつしっかりと締めていく。✖
最初の1本のネジをしっかりと締めてしまい、その時に 取り付ける部品の取り付け位置(角度)が違っていると、他のネジがきちんと閉まらなくなります。
➡多少のずれがあっても1本目のネジはそれなりに締め込めてしまいます。
結果:部品が本来取り付ける位置(角度)とズレた状態で固定されてしまいます。
良い例
すべてのネジをまんべんなく少しずつ締めていき、途中で部品を揺らしてみて本来の位置にきちんとはまっているか確認しながらネジを締めます。(少し位置がずれていた場合、揺らしたりずらしたりしてみるとカチッとハマる位置が見つかります)
何本もネジがある場合は、出来るだけ対角線上のネジを締めていきます。
(1本目から一番遠い位置のネジを2本目として締めていきます。)
車のタイヤ交換をしたことがある方には常識的な話だと思っていたのですが、意外とこの基本を知らずにタイヤの芯が出ていない(車軸の中心と車輪の中心が合っていない)状態で取り付けてしまう方もいらっしゃるようです。
今回の場合はネジが3本なので、対角線上のネジ(一番遠いネジ)という物が無いので自分のやり易い方向(右回り/左回り)で少しずつネジを締め込んでいきます。
ねじの締め方以前に、今回使うブレーキディスクの芯が出ているのか?(社外品です)
一応、ネジ位置とネジ穴が合っているのか確認。
新品の社外品ブレーキディスクを位置をずらしながら3方向の取り付け角度で確認。
ネジ穴位置 OKです。
取り付け位置や、ぐらつきがないか確認しながら六角棒レンチで締め付けられるだけ締め付けます。
外した時の感覚から言って、かなりきつめに締め付けて良さそうです。
先にも書きましたが、このネジの締め付けトルクは
トルク:42N・m(4.3㎏f・m)です。
自動車のタイヤ交換用に持っていたトルクレンチを利用します。
自動車のタイヤ交換用トルクレンチを購入して何年も経ちますが、初めてトルク変更を行いました。
購入時の設定トルクは103N・mで、柄の端のトルクロック部には封印のテープが貼られたままです。
ついにこの封印を解く時がやってきました。
柄の端の封印を解き、トルクロックのネジを緩め、柄の手持ち部分(回転させられる部分)を回してトルク設定を行います。
柄を回転させ軸の 42 の数字から伸びている線に回転部の 0 を合わせます。
(トルク:42N・mに設定)
作業途中でトルク設定が変わってしまわないように柄の端のトルクロック部を締め込んで準備完了。
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トルクレンチで締める時にも、一度で1本のトルクを規定値まで締めてはいけません。
3本のネジを同じ力加減でじわじわと締め付け、少しずつ締め付ける力を強めて締めていきます。
最終的に1本のネジのトルクが規定値になったら(カチッとした感触があったら)他のネジも規定値まで締め付けてディスクブレーキの取付完了です。
*トルクレンチを使ってネジを締める時には、じわじわとゆっくり力を込めていく必要があります。
エイッっと一気に力をかけると規定値以上のトルクでネジを締めてしまう事になります。
余談:トルクレンチを使った時の力の感想
車のタイヤ交換時の締め付けトルク 103N・m は、それ程頑張らなくても締め付けられるのですが、
今回の、取り外したタイヤにネジ止めでトルク:42N・m は、かなり力が必用でした。
車のタイヤは固定されていて、今回のジョーカー90の取り外したタイヤは固定されていないので当然と言えば当然なのですが。
次回があるかどうかは判りませんが、ディスクブレーキの取り付け時には助手を誰か見つけてきてタイヤを押さえてもらうか、タイヤを固定する方法を考えた方が良さそうです。
(一人で作業をしなければいけない時には、例えば木材を組み合わせてタイヤの固定具を作る ほうが全体での作業効率が良いかもしれません)。
*思いつき/アイデア:手でネジをだいたいのトルクで締め付けて、タイヤを車体に取り付けてから前輪のブレーキをかけた状態で、トルクレンチで増し締めをした方が簡単かもしれません。
以上、
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